最終更新日(修正程度を除く):2026年2月12日 3:57
Pt. 15 | 全パート
オマケ1:右派の反応
最初の方で軽く触れたとおり、右派からは強烈な拒否反応が生じている。何が気に入らないのかというと、①白人ではない、②スペイン語、③(プエルトリコ出身者はアメリカ国籍であるということを知らない人が多いらしく、思い違いだけど)移民である、④トランプ政権を批判している、といったところだろうか。
WIRED.jp「バッド・バニーのスーパーボウル起用にMAGAが反発。米国の分断が浮き彫りに」(Anna Lagos/2025年10月12日)
その後、銃殺されたことで話題になった故チャーリー・カークが代表を務めた保守団体ターニング・ポイントUSA(以下、TPUSA)が裏番組を企画し、トランプ派で有名なキッド・ロックがその他保守派のミュージシャン数名と共に出演した。
朝日新聞「バッド・バニーのスーパーボウル出演に注目 右派は別番組を放映へ」(田中恭太/2026年2月6日 13:30/有料記事/2026年2月9日閲覧)
一人、本物の方のハーフタイムショーに出演すると勘違いしている可能性なきにしもあらずといった投稿をしているミュージシャンがいてちょっと心配になった(出典)。
出演者が発表されたときの私の反応も正直まさにこれだった:
キッド・ロックかニッキー・ミナージュしかいないのか、と。
TPUSAのハーフタイムショーは実際に観てはいないけれども、どうなったか気にはなるので軽く検索していみると、だいぶ散々なものだったらしい。
ローリングストーン ジャパン「キッド・ロック、米右派「アンチ・ハーフタイムショー」でやる気のない口パクを披露」(NIKKI MCCANN RAMIREZ/2026/02/09 14:15)
それぞれ他の媒体での配信等もある(特に公式の方はテレビ放送もあった)ので正確な比較ではないけれども、あくまでも参考用に、公開後1時間の時点では公式は約170万回、裏番組は1万3793回。
2026年2月10日午前4時現在(私もいい加減寝た方がいい)のYouTubeでの再生回数は公式(公開後約13時間)は約2500万回、裏番組(公開後約17時間)は約1900万回。
国名を列挙していたあたりで後ろに写っている大画面の「THE ONLY THING MORE POWERFUL THAN HATE IS LOVE」(毎日新聞訳「憎しみよりも強いのは愛だけだ」)が結果的に右派に対するメッセージとなっている。なお右派へのメッセージだと具体的に書いてあるわけではないし、バッド・バニーがそう言ったわけでもない。
毎日新聞「米人気歌手『憎しみより愛』、移民政策を批判 スーパーボウル」(2026年2月9日 15:46公開/2026年2月9日 20:35更新)
トランプがかなり早々に酷評を投稿していた。(少なくともその時点では)裏番組には触れておらず、「キッド・ロックの方は見ていないのか」と、たくさんの人につっこまれていた。
CNN「Trump calls Bad Bunny’s Super Bowl halftime show performance ‘one of the worst, EVER’」(Hanna Park, Kit Maher/2026年2月9日 12:31 ET公開/2026年2月9日 8:35 ET更新)
推敲中の追記:白人が足りなくて見られたものではないというような人種差別丸出しの感想を述べていた右派のインフルエンサー(出典)が、今度は「プエルトリコでは電力網の深刻な問題が起きているのに、問題提起をせずにパフォーマンスに電柱を利用するなんて皮肉なものだ」(要約)と言っているらしい(出典)。パフォーマンスによる問題提起という概念はない模様。
2026年2月12日追記
CNNの記事の日本語版が出ていました。
CNN.co.jp「バッド・バニーのスーパーボウルのハーフタイムショー、「史上最悪」とトランプ氏」(2026年2月9日 17:09 JST)
右寄りメディアからの「MAGAは文化戦争に負けたのか?」というコラム:
The Hill「Did MAGA lose the culture war on Super Bowl Sunday?」(Brad Bannon, Opinion Contributor/2026年2月11日 13:00 ET)
左寄りメディアからの「MAGAがしつこい」という記事:
Mother Jones「MAGA Absolutely Cannot Let Bad Bunny Go」(Anna Merlan/2026年2月12日 5:30 JST頃)
イギリスのガーディアン紙からの「MAGAはなぜバッド・バニーをめぐって頭がおかしくなってしまったのか?」というコラム:
The Guardian「Why has Maga lost its mind over Bad Bunny?」(Moustafa Bayoumi/2026年2月11日 16:00 GMT/2026年2月12日閲覧)
他にもたくさん。とにかく変な意味でも話題になっている。
なお、トランプの「何を言っているのか、誰にも分からない」(CNN訳)という苦言に関しては、上記ガーディアン紙のコラムで指摘されているとおり事実に反している。
Actually, Mr President, according to a 2025 report from the well-respected Instituto Cervantes, the United States currently has approximately 45 million native speakers of Spanish, and another 20 million non-native speakers, which the institute defines as those with “sufficient knowledge to communicate in Spanish with native and non-native speakers”. At 65 million Hispanophones, the United States has more Spanish speakers than Spain. Thank you for your attention to this matter.
要約すると、2025年の調査によるとアメリカ合衆国にはスペイン語が母国語の人がおよそ4.5億人、その他のスペイン語話者がおよそ2000万人、合計すると6.5億人いる。スペインの人口は5億人弱。つまりスペインよりもアメリカ合衆国の方がスペイン語話者が多いということになる。
2026年2月12日追記
オマケ1.1:共和党議員による調査の呼びかけ
総じて右派の反応は「なんかワーワー言ってる」といった印象だが、ひとつだけ、実際に問題になり得る可能性のある反応が出てきた。「何を言っているのか、誰にも分からない」というトランプの発言をよそに、バッド・バニーの歌詞が性的な内容を含むことに対して正式に調査が行われるべきだとテネシー州の共和党議員が呼びかけているとのこと。
TIME「GOP Lawmaker Calls for Probe Into NFL and NBC Over ‘Indecent’ Bad Bunny Super Bowl Halftime Show」(Chad de Guzman/2026年2月10日 15:45 JST)
ファクトチェック機関Snopesが歌詞自体や、今回のパフォーマンスで実際にどう歌われたのか詳しく分析しており、元の歌詞が性的であってもパフォーマンスでは敢えて聞き取りにくいように歌ったり飛ばしたりしていることが分かる。
Snopes「GOP lawmakers called for FCC probe over Bad Bunny's halftime show. We broke down his lyrics」(Anna Rascouët-Paz/2026年2月11日)
そして個人的な見解を付け加えると、90年代に育った者として、子供の頃一番好きなアルバムのひとつは題名からして既にアウトのスヌープドッグ『ドギースタイル』だったが、歌詞を聞き取れても意味は全然理解していなかった。(既にバッド・バニー本人によって対応済みではなかったとしても)そんなに過剰に検閲しなくても、だいたいそういうものではなかろうか。
オマケ2:プエルトリコの人たちの反応
ポジティブな内容で終わることにしよう。バッド・バニーのハーフタイムショーは当然、地元プエルトリコでも注目されていた。前述の「ボリクア」から「スーパーボウルサンデー」を「スーパーボリサンデー」と呼ぶ人や、「ベニートボウル:モルシージャ、サンコチョ、モフォンゴ、レゲトン、そしてちょっとだけフットボールも」と呼ぶ人も(モルシージャ、サンコチョ、モフォンゴはいずれも料理名)。APの記事内で触れられている「Bad Bunny 101」についての投稿者はさんのことと思われる。
AP News「Puerto Rico stops for 13 minutes to applaud history and bask in Bad Bunny’s glow」(Dánica Coto/2026年2月9日 13:28 GMT更新/2026年2月10日閲覧)
Among those beaming after the show was Juliana Santiago, 35, who said her heart swelled with pride on Sunday night.
She said Bad Bunny proved that “you can accomplish things, that the American dream truly is real.”
Kagi Translateによる機械翻訳に少し手を加えたもの:
終演後、晴れやかな表情を見せていた一人のフリアナ・サンティアゴさん(35)は、日曜の夜、誇らしさで胸がいっぱいになったと語る。
彼女は、バッド・バニーが「物事は成し遂げられるということ、そしてアメリカン・ドリームが紛れもない現実であること」を証明してくれたと話した。
数々のビューイングパーティーが行われ、凄まじく盛り上がっていた様子。
ワシントン・ポスト(YouTube)「Puerto Rico sings along to Bad Bunny's Super Bowl halftime show」(2026年2月10日)